みなさん、こんにちは!
セカンドライフ支援機構、行政書士の坂本です。
先日、相続税対策として養子縁組の制度を
検討したいとのご相談をお受けしましした。
現在の日本では、婚姻件数役59万件に対し、離婚件数は約21万件ですので、
婚姻件数に対して離婚件数が三分の一の割合という計算になります。
(2018年度の厚生労働省の統計)
そのような現状から、再婚をして養子を迎えるケースも少なくありません。
そこで今回は、「養子縁組を利用すると有効な相続対策につながるのか?」について考えてみましょう。
1 普通養子と特別養子とは?
実は、養子にも親の相続権が認められます。
しかし養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があり、相続について取扱いが異なります。
【普通養子縁組】
普通養子縁組は、養子と養親双方の同意によって成立する原則的な養子縁組です。
子どもが未成年の場合には親権者の同意が必要とされます。養親は独身でもかまいません。
一般に「養子縁組」という場合、この「普通養子縁組」をいいます。
【特別養子縁組】
特別養子縁組は子どもが15歳になるまでの間だけできる、特別な養子縁組です。
育児放棄や虐待された場合や親がいない場合など、特別の事情があるときに子どもを保護するための制度です。
「家事審判」という裁判所の許可があって始めて特別養子縁組が可能となります。
普通養子縁組でも特別養子縁組でも、養子には養親の相続権が認められます。
但し、取扱いが異なるのは「実親の相続権」です。
普通養子縁組の場合、養子は養親の相続権だけではなく実親の相続権も認められます。
しかし、特別養子縁組の場合には子どもと実親との親族関係が切れるので、実親の相続人とはなりません。
どちらにしても
「養親の遺産相続権」は認められるので、養親が遺産相続を考えるときには養子にも相続権が認められます。
加えて、養子の相続分と遺留分は実子と同じです。
養子と実子がいるときに、
「実子にすべての遺産を相続させる」内容の遺言書を書いたら、養子が実子に「遺留分侵害額請求」を行ってトラブルになる可能性があります。
あまり不公平にならないよう注意して遺言書を作成することも必要です。
2 養子が相続税対策になる理由とは?
それでは、今回のテーマである養子縁組をすると相続税の節税と聞いたことがある方も多いかもしれません。
相続税の基礎控除
養子縁組で相続税の節税になる理由は、「相続税の基礎控除が増えるから」です。
相続税には基礎控除が認められ、遺産額が基礎控除の金額までであれば相続税がかかりません。
また基礎控除が高ければその分課税対象遺産額が減って相続税が下がる仕組みです。
相続税の基礎控除の計算方法
3,000万円+法定相続人数×600万円
このように法定相続人が増えると基礎控除が増えるので、
養子縁組により相続人を増やせすことにより相続税が下がることになります。
1 養子による基礎控除の人数制限
養子縁組をしても、無制限に基礎控除が増えるわけではありません。
実子がいる場合には養子1人分、実子がいない場合には養子2人分までしか基礎控除に加算できないのです。それ以上養子縁組をしても相続税の節税にはならないので注意しましょう。
2 養子は2割加算の可能性
養子が相続人となる場合には、相続税が「2割加算」されるケースが多数です。
税制上、配偶者や親、実子、代襲相続した孫以外の人が相続財産を取得する場合、相続税が2割加算されるルールがあるからです。例えば、子どもがいるケースで孫を養子にして法定相続人を増やすと、孫の相続税負担は2割増しとなります。
このように養子縁組にはいくつか制限があり、必ずしも相続税の節税にならない可能性があるので、縁組を実行する前に税理士などの専門家に相続税計算のシミュレーションを行ってもらうことが重要です。
最後に、養子がいる場合には実子と同様の相続権が認められるので、トラブルにならないよう公平に遺言書を作成することがポイントとなります。
今回も、最後までお読み頂きありがとうございました。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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