セカンドライフ支援機構行政書士の坂本です。
今回は相続人のいないおひとりさまの相続がいかに複雑・煩雑な相続手続きが必要であるかお伝えします。
因みに「おひとりさま」とは、一人暮らしをしている方のことを言います。
あなたの周りにもおひとりさまのご家族・ご親戚がいらしゃるのではないでしょうか?
おひとりさまは、誰にも手間をかけることがないから、
死後の準備は不要ではないかと考える人は多いのではないでしょうか?
しかし、これは決定的に間違った認識です。おひとりさまだからこそ、生前にやっておかないといけないことが
多くあるんです。
おひとりさまが急増中!その原因と社会的背景とは?
国立社会保障研究所の調べでは(2018年)2040年の全世帯数は5076万世帯、
そのうち単身世帯1994万世帯のなんと約4割を65歳以上が占めるとの予測がされています。
今まで、両親と子どもという世帯が一般的だった時代から高齢のおひとりさま時代へと大きな転換期をまさ
迎えようとしています。 このような背景には、低所得・女性の社会進出など社会・経済的な要因も大きく影響しています。
おひとりさまになる理由は、もちろん、生涯独身の人や、死別・離別などさまざまです。
そのため、おひとりさまが今後急激に急増するることが予想されています。
おひとりさまの死後・相続手続きとは?
おひとりさまが亡くなると、警察は住民票や戸籍をたどって、6親等までの親戚に連絡をします。
もし連絡がつけば、遺体の処理や死後手続きを依頼されることになります。
例えば、人生において全く会ったことのない親戚の相続手続きをあなたはしないと
いけないかもしれません。もし、あなたがそのような親戚の死後手続き・相続手続きを行う場合
まず、故人の死亡届や火葬許可証を提出し、遺体を火葬することになります。
この火葬費用だけでも、数十万がかかります。
しかし、まだまだ手続きは終わりません。
次は、故人の遺品の整理をしなければなりませんがこのままでは遺品を整理することができません。
なぜなら、
遺品は相続財産なので、口座の凍結の解除や不動産の名義変更と同様、
相続人がいなければ、遺品の整理を行うことはできません。
この場合は、相続財産管理人を選任しなければなりません。
親戚などの利害関係人が家庭裁判所に申立手続きをして、弁護士や司法書士が選任されます。
相続財産管理人によって管理・整理された遺産は、原則国庫へ納められます。
申立人が特別縁故者として認められれば遺産を取得できる可能性もありますが、
厳しい条件があり、特別縁故者として認められるのは難しいのが現状です。
しかも、この手続きは数十万~100万円を前払いしなければいけない場合があります。この費用は遺産から
払い戻される規定になっていますが、遺産がなければ、申立人の負担になります。
このようなことを回避するためには2つの手段があります。
1つ目は死後事務委任契約締結する方法です。
死後事務委任契約は、書類の提出など、死後の事務手続きを
代行してもらう契約です。
2つ目は家族信託を利用する方法です。
家族信託は、遺産の整理を代行してもらう契約です。
これらの契約を二つとも、生前に契約を締結しなければなりません。
また、どちらも弁護士・司法書士などに依頼して契約を締結することになります。
その費用は高額になるケースが多いです。
それでは、費用が用意できない場合はどうすれば良いのでしょうか?
遺言執行者を決めて、遺言書に死後手続きをどうしてほしいか、記載する方法です。
例え、相続人等がいない場合でも、親しい知人さえいれば、死後の手続きを依頼できます。
もちろん、火葬費用など、最低限の費用は払う必要がありますが、
お礼の費用を含めても、安く抑えることができます。
おひとりさまの相続は決して
他人事ではありません。
おひとりさまだからこそ、
事前に相続の準備をしないと
他の方が経済的にも精神的にも
大きな負担をしなければなります。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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